誇りとは 3


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「お前はまた、いきなり何を言い出すんだ」

力強く指を差された先には鉄色の髪の男。うんざりしたようにそっぽを向くもセルバローには無論通じない。

「せっかく二人揃って久々に母校に帰ってきたんだ。雁首そろえて居並ぶ可愛い後輩たちに心技を伝授してやろうと言う気は無いのか、このカタブツ」

「残念ながら俺には無いな」

「皆はどうだい?俺とコイツの試合見たくは無いかな?」

木で鼻を括ったようなつれない返事を全く無視してセルバローは観覧している学生たちに尋ねた。とたんにわぁっと言う同意の声が大きく上がる。

それはそうだろう。方や「雷神」と異名をとる派手な言動と外見、そして華々しい軍功を持つ男。方やこれまた「掃討のセス」の二つ名をもつ若き常勝将軍である。少年たちでなくともこの二人が剣を交える様は見たいと思うのが人情であろう。事実若い剣術指南達は彼らの教え子同様、大きく腕を振り上げている。

「ほうらね」

「・・・」

ファイザルは苦々しく眉を(ひそ)めた。

「どうだな、ヨシュア・セス。雷神殿はああ言っておられる。正直言うて、私もこの手合わせは是非とも見てみたい。久しぶりだろ」

「しかし・・・」

ファイザルは尚も渋ったが、その横に座っているレーニエと眼が合った。

「私も見たい」

「レーニエ様まで」

「決まりだな。観念せい。ほら誰か、将軍殿に剣を」

ただちに訓練用の剣がファイザルに差し出された。それは確かに訓練用ではあるが最大の大きさのもので、見るからに重量があり、使いこなすのはかなりの手垂れで無くてはならないだろう。

「やれやれ、仕方がない。では、一手だけ。そして審判をどなたかにお願い申す」

ファイザルはとうとう剣を受け取ると腰を上げた。セルバローとは彼がただの一兵卒で会った頃から幾度となく手合わせをして来た間柄だったが、彼にしてみれば余りにあからさまな挑発に乗ってしまったようで、少なからず面白くないのだ。

「はは!では私が不肖ながら」

近くの若い指導者が勇み立って礼をする。周り中から歓声が上がった。レーニエも白い頬を真っ赤に染め、瞳を輝かせてファイザルを見つめている。

「ははは!やっと重いケツを上げたな、散々勿体つけやがって」

練武場の真ん中に仁王立ちの赤毛の男が、我が意を得たりとばかりに豪放に笑った。

「黙ってろ。そら、さっさと終わらせるぞ。とっとと構えろ」

「よしきた」

向かい合った二人は無造作に数回剣を振ると、得意の構えを取った。途端に観衆が静まり返る。レーニエの隣にはフェルディナンド、ヒューイ、そしてグザビエ。(いず)れも緊張の中に期待を膨らませて、この有名な戦士たちの一挙手一投足を見逃すまいとしている。

「来い」

「・・・っ!」

にやりと笑ったセルバローが大きく踏み出す。と、同時に長剣がその姿を消し、ファイザルの腹を真横に()ぐ影があった。

斬!

しかし、そう見えた時にはファイザルは切っ先の僅かに届かぬ先に後退している。上半身は些かも動いたと見えなかったのだが。

しかし、セルバローの攻撃は僅かの間隙も無い。勢いがついて弧を描く剣の重さを利用して手首を返すと、まるで怪鳥のような刃鳴りをさせて、次々に脇や肩を狙った突きや払いが繰り出される。その変幻自在の飛燕の剣は、まるでそれ自体が生き物のように人々の目に映った。まさに猛攻である。



ガキッ



「うわあっ!」

周囲から大きく声が上がった。

それまで刀身で矢継ぎ早の攻撃を受け流していたファイザルの剣が、とうとう鍔元でセルバローの剣を受けたのである。

将軍の方が押されている、と見ていた観衆はあっと顎を引いた。

ぎりぎりと二の腕を震わせながら両者は動かない。しかし、セルバローが片手であるのに対してファイザルは柄を両手で握っている。彼の頬が一層引き締まった瞬間、セルバローは弾かれたように大きく後方へ跳び退(すさ)った。渾身の力で押し返されたと思った刹那―――

「―――!」

一瞬の隙もなく、剣を左手に持ち替えたファイザルがセルバローの間合いに切り込み、(もも)を狙う。

正に電光石火!

「っ!」

雷神はやや体勢を崩しながらも辛うじて受けた。彼の筋力が無ければ、ここで勝負はついていたかもしれなかった。おそらく真剣なら、かすめた切っ先で太股に浅手を負っていただろう。

「ち、面倒な両利き奴」

にやりと雷神は笑い、瞬時に体制を入れ替える。

その後は両者の乱打戦になった。打っては引き、剣が交差しては向きが入れ替わる。双方肉薄しつつも僅かに決め手にはなっていない。これが研ぎ澄まされた真剣ならば、お互い満身創痍になっていた事だろう。そして刃はボロボロになって――いや、もしかすると、どちらかの刀身が折れていたかもしれない。それほどに激しい打ち合いであった。なのに、両者はうっすら汗をかいているものの、目立った呼吸の乱れは無い。まるで人と剣が一体になったかのように切り結んでいる。



――すごい・・・



グサビエは魅入られたように翠の瞳を見張っていた。



――こんなすごい試合は見た事が無い。



激しく、恐ろしく、そしてどこか美しい。幾多の命の攻防を潜りぬけ、戦いを知りつくした男たちのぶつかり合い。無駄の無い、洗練された動きは時として舞踊のようにも見える。



――ああ、とても敵わない



その横でフェルディナンドも立ちつくしていた。



――彼らに追いつくには、一体後どのくらい厳しい訓練を積まなくてはならないのだろうか



火を吹くような打ち込み、流水のように滑らかな掃い。

彼らには隙と言うものがないのだろうか?何故あんなに激しく剣を揮った後で、すぐさま受けに回れるのだろう。

フェルディナンドには彼らとの、力と、技と、そして経験の差が限りなく遠く見えた。

カィン

これで幾度目だろうか?耳障りな金属音を響かせて刀身が絡み合う。

「それまで!」

バードン校長のよく通る渋い声が静まり返った練武場に響いた。途端に両者後退し、切っ先を下げる。待ての体勢である。

「お見事!二人とも素晴らしい戦士だ。このまま後、百合打ち合っても勝負はつくまいよ。例えついたとしても余り意味のある事とは言えぬでな。皆も学べただろうし、まぁ、これぐらいにしておくがよろしかろう。・・・こちらのお方が卒倒寸前だし」

その言葉にファイザルがレーニエを見ると、彼女は顔を真っ赤にして拳を握っていた。一杯に見開かれ、潤んだ瞳が彼を捉えた。

「余程気を張り詰められておられたのか、先からずっと息を詰めておられる」

「レナ・・・!」

慌てて妻のもとへ駆け寄る。

「申し訳ありません。ご心配をお掛け致しました。つい気が入ってしまい――」

「ううん、見蕩れていたの。お二人が余りにご立派で・・・お美しくて・・・」

レーニエは溜めていた息を大きく吐き出し、ゆっくりと立ち上がった。

「素晴らしい試合だった。あなた達を誇りに思う」

「光栄の至りにございます。俺はあなたの戦士だ、永久に」

ファイザルは片膝をついてレーニエのマントの裾に口づける。周りを取り囲んだ若者たちから歓声と拍手が沸き起こった。



「やれやれ・・・今日はレナちゃんの一人勝ちだなぁ。いやぁ、参った」

晴れやかに雷神は言い放ち、その逞しい肩を大げさに竦めたのだった。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「ワルシュタールと言うのは何者なんだ」

その日の夜、談話室を抜けて中庭に出たフェルディナンドを追ってやってきたグザビエは、振り返った彼に向って聞いた。少年にいつもつき従う従者の影は無い。

「悪いが俺の口からは言えない。だが、ただの辺境領主ではないとは言っておく」

夜風に伸び始めた毛先を遊ばせながらフェルディナンドは静かに答えた。

「・・・そのくらい、僕にだってもう分かる」

「そうか・・・あの方は俺の大切な主だ。今までもこれからも、あの方に仕えられるのは俺の矜持(きょうじ)なんだ。俺にとってはそれで十分だ」

「お前がこの学校に来たのもあの人の為か?」

「そう。まずは強くならなくてはと思って。お守りするために」

「強く・・・」

「ああ、『雷神』よりも『掃討のセス』よりも強く」

灰青の瞳がまっすぐに金髪の少年を見据えた。

「・・・ずいぶん強気だな。今日の試合を見た後でそんな事が良く言えるな、お前」

「目標は高いほうがいい。俺はそういうタイプだ」

「人の為にそこまで思えるものか」

フェルディナンドから視線を横にずらしてグザビエは言った。彼には分からぬ感情だった。

「人の為だから思える。大切な人の為なら」

「・・・・・・」

「お前もそう思える人を早く見つけるといい」

「ふん、そんなものが見つかるかどうか分かるものか。僕は家と言う(しがらみ)に縛られているんだ」

「家柄が誇りだったんじゃないのか」

「誇りさ。でも、同時に重圧でもある。生涯、僕には家がついて回る。だから自由なんてない。誰かの為に生きる自由なんか」

「あの方も最初はそうだった」

「え?」

「レーニエ様さ。あの方も厳しい運命と桎梏(しっこく)に囚われ、最初は人前で素顔も晒せなかったんだ。だけどあの方は生まれ変わられた。それが俺のせいではなかったのは悔しいけれど」

「・・・」

怪訝そうにグザビエは小首を傾げる。

「あの人を好きになられて、レーニエ様は初めて生きようとされた。だからお前だって家とか、身分だとかに余り自分から捉われない方がいい。あの方に比べたらお前なんてまだ楽なもんだ。まぁ、お前にだって言い分はあるだろうけど」

「大ありだ」

「まぁそう()ねるなよ。だから諦めんなって話さ。人生投げるなよ」

「ふん・・・。お前の言う『大切な人』とやらは知らんが、手近の目標なら今できた」

にやりと笑って少年は再びフェルディナンドを見た。そこにはさっきと違った光が宿っていた。今度はフェルディナンドの方が胡乱な顔つきになる。

「今?」

「そう今」

「なんだそりゃ?・・・聞いてもよければ」

「僕もお前をいつか追い越してやる。学問でも武芸でも。待ってろ、あと少しだよ。お前の天下もさ」

グザビエはにっと笑って頭一つ分は背の高いフェルディナンドを見た。

「・・・」

大して苦労も知らないくせに事も無げに言い放つ彼を、まだまだ子どもだとフェルディナンドは思う、だが―――



――自分もこんな目つきであの人を見上げているんだろう。そしてあの人も仕様のない子どもだと思って俺を・・・



――同じか、結局。こいつを笑える立場じゃないな



フェルディナンドも皮肉に笑った。笑って、そして挑戦的な目つきをしているグザビエを見下ろす。もう、そんなに嫌な奴とも思えなかった。

「・・・その意気だ」

「ふん。高飛車に言うな」

グザビエはそっぽを向いたが、顔を向けた先にオーベールが心配そうに立っているのを見つけた。彼は主と眼が合うと小さく頭を下げ、二人のやり取りの邪魔をしないように姿を隠す。しかし、呼べば直ぐにやってこれる位置に真摯に控えているのだと言う事はグザビエにも分かった。今まであまりに当然過ぎ、考えても見ない事だったけれども。



――あいつも僕の事を大切だと思って仕えてくれるのだろうか・・・



今までの自分の行いを(かんが)みるにグザビエには自信がない。自分が従者にとってどれだけの主人か等、今までの思惟の範疇には無かったから。しかし、出来うるならば・・・



――その人に仕えることを誇る従者、従者の為に真剣に(いきどお)れる主



少しは考える価値があるかもしれない。グザビエは思った。彼の脳裏に昼間、妙な遭遇の仕方をした銀髪の人物が鮮やかに蘇る。



『私は女だからな』



「おい・・・いきなり顔が赤いぞ。どうした?」

「なっ、何でも無い!何でも無いぞ!ないったら!」

見るからに狼狽してグザビエは首を振った。

「何も言ってないじゃないか・・・何?その手」

「手?」

グザビエはフェルディナンドが一体何を言っているのか?という顔をした。

「なんでそんな変な・・・」

「へ?・・・うわわわわぁあ〜〜〜!!」

見ると無意識に突き出した右手が何かを包むような形をしている。グサビエはあっと引っ込めると、まるでけったいな物でも触ったかのように手首をぶんぶん振った。

「一体何やってんだ?」

「知らん!僕は知らない!何にもしてないからな!」

そう言うと少年は、これ以上ない程頬を紅潮させて、驚いて顔を出した従者の前を脇目も振らずに駆け去っていった。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「お気がすまれましたか?」



瑠璃宮の居間。瑠璃宮に露台は無いので、窓辺に置かれた大きな長椅子に凭れた妻をファイザルは振り返った。

開け放たれた窓からは暮れかかった夏の空と広大な王宮が良く見渡せる。ぬるい風が時折吹きこんできて、室内の空気を入れ替えている。ファイザルは窓際に立って外を見ていたのだ。

「・・・ん。楽しかった。でも、学校と言うのは面白いところだなぁ。同じような年頃の子がいっぱいいて、同じような格好をして、同じ本で学び、同じものを食べている。だけどみんな同じかと言えば、これが皆違うんだ」

「その通りです」

素直なレーニエの感想にファイザルは優しく頷いて見せた。

「あなたもそうだったの?あそこで学んだのでしょう?」

「でも、どうかな。俺は無理やり放り込まれたようなものだったし、もしかするとあの坊ちゃんより気ままに振舞っていたかもしれない」

「そうなの?でも、私にはそんな経験は無かったから・・・羨ましい気がする」

「ええ、確かに無意味ではありませんでした。学問や武術だけでなく、何て言うのかな・・・うん、同じ年頃の奴が何を考えているのかが分かるし、どう生きていこうとするのかを決める猶予期間のようなものは必要かもしれないと今では思えるし。俺はずっと大人の中で戦争を子守唄に育ちしたからね。・・・戦いの無かったあの頃だけは特別だった。いろんな奴と知り合えたし」

「友達ができた?」

「ええ。いろんな奴がいます。出自も、性格も。俺のような経歴の奴は少数派だが、それでも殆どの奴は結局俺を認めてくれた。ありがたいことに」

最後の言葉はやや皮肉にレーニエには聞こえた。彼は何も言わないがおそらく在学中は、フェルディナンドと同じように様々な試練があったに違い無いと思われる。レーニエは少し悲しく思ったが、その事については今は触れようとは思わなかった。

「あなたは・・・ご自分を誇られないの?」

「誇れるものなど何もなかった。俺にはね、・・・今は違いますが」

「今は?」

「あなたを愛している事を誇れます」

「う・・・」

薄くなった屋外の光にも鮮やかにレーニエの頬は染まった。その様子をみて目元を綻ばせたファイザルは妻の横に腰を下ろす。しかし、妻はプイと横を向いてしまった。背中越しに腕を伸ばし顎を捉える。

「そんな言い方・・・(ずる)い」

骨ばった指の甲で頬を柔らかく撫でられながら、レーニエは少し拗ねた。からかわれていると思ったのだ。

「心外な。狡くなんかない」

そう言うと彼は頬を撫でていた手を後頭に回し、レーニエを引きよせると軽く口づける。まだ陽の残る今の時間ではこの位にしておかないと。

「俺の誇れるのはあなただけだ」

「ジャックジーンは?」

「セルバロー?なんで奴の名がここで?」

今度はファイザルの方が不満そうに言った。

「あの人は自分の事を誇っているのかしら?って思って」

「さぁねぇ、奴は誇りとかそういう既存の概念では計り知れない部分があるからなぁ・・・昔っから。無駄に自信満々と言うか、威風堂々と言うか」

「でも好きだったのでしょ」

「さあね。何故そう思う?」

「彼といる時のあなたが一番楽しそうだから」

「楽しい?」

意外そうにファイザルは聞き返す。この子の言葉はいつも突拍子が無い。

「うん。伸び伸びして見えるよ。違う?」

「ま、確かに遠慮の無い相手ではある。男同士だから、楽しいのとはちょっと違うかもしれないけれど」

「今日の試合は素晴らしかった・・・いつもあんなに勝負がつかないの?」

「いや、6割以上で俺が勝つかな?だが、負ける時は酷い負け方になるな。あいつの剣は性格と同じで予測がつかないから・・・だが、まぁこう言い方が適切かどうか知らんが、切磋琢磨し合える相手ではあるかもしれない」

「いいなぁ。親友って言うのかな?あなた達はきっとお互いを誇りに思っているんだ。自分では無くて」

「・・・どうだか」

ファイザルは薄く笑った。

「ふ・・・素直でないなぁ・・・あの子みたいだ」

あの子と言うのは勿論グザビエの事である。

「それはかなり酷い」

「けど・・・また会えるだろうね、きっと。そしたらあなたとジャックジーンのように仲良くなれるかな?あなた達は喧嘩をした事がある?」

「ええ。・・・と言うか、むしろしょっちゅう喧嘩をしていたな。・・・今日のあなたのように」

「そぉ?じゃあ、私の事叱れないではないか」

「いや、あれは・・・叱ったと言うか、単にもの凄く驚いただけで」

「随分怖い顔だったけど」

「そりゃあなた、自分の妻が他の男の上に乗っかっているのを見て穏やかな男はいないでしょうよ」

言いながら思い出したようで、ファイザルは深く眉を(しか)めた。

「だって、それは喧嘩なんだから仕方がな・・・」

「ではなくて、その内教えてあげますからね」

「何を?」

「いや・・・・・・それより、レナ、気になっていたんだが、あなたはどうやってあの高慢な少年を懐柔されたのですか?」

「ああ、それはファーデリアン侯爵家の家訓が婦人に対する敬愛と忠実だそうだから、私が女だって教えた。びっくりしていたけれど」

「あまり聞きたくは無いのですが、どうやって・・・」

「それはね・・・」

レーニエはファイザルの手を取り、先刻グザビエにしたのと同じような仕草をする。

「!!!」

「相手は子どもだもの。分かりやすいほうがいいと思って」

けろりと言いっぱなす娘に悪気は毛ほども無い。これは多分叱るべきだ。叱らないといけない。それも厳しく。さぁ叱れ、叱るんだ、自分。彼は自分を叱咤した。

「―――――」

しかし、邪気のない頬笑みを前にして、彼は言うべき言葉を見つけられなかった。

「ヨシュア・・・?あ!」

不思議そうに見上げる妻をいきなり胸の中に閉じ込める。

「レナ・・・あなたは俺の誇りだ。間違いなく。・・・だが・・・あまり心配させないでくれ・・・例え子どもでも俺以外の男に触れさせるなんて、そんな・・・」

昼間、少年たちに神を見る目で見つめられていた男は、腕の中の華奢な娘に情けなさそうに繰り言を述べた。



――確かにこの子の一人勝ちだよ、ジャックジーン。お前の言う通りだ、認めたくは無いがな



「そんなあなたに惚れたのだけど・・・」



こうしてこれから先もこの娘に振り回されるのだろうなぁと言う予測を、国軍きってのキレ者は、諦めと共に受け入れたのであった。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





これにて完結。たくさんの応援やお言葉ありがとうございます。
ちょっと繋がりが変なところがあるので、その内手を入れると思います。



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